成立したeビジネス/デジタルビジネス関連の特許/実用新案(FI=G06Q)で、特許公報発行日が2025年4月のものは838件(うち実用新案4件)でした。それらの中から次の4つをご紹介します(前々月に発行された登録特許から選んでいます)。

三井住友信託銀行株式会社 ハウジングウィル総合システム(特許7662418)

 2025年4月15日発行。
 住宅ローン新規実行顧客向けの自筆証書遺言書を保管して、ライフイベントの発生やニーズの変化に応じた顧客に対する自動的・継続的フォローを可能にしたハウジングウィル総合システムを提供する、という発明。三井住友信託銀行のハウジングウィル(自筆証書遺言を無料で預かるサービス)の仕組みに関する発明と思われます(そのサービスのページに「特許申請済み」と書かれています)。

株式会社アシックス  走行記録装置および走行記録システム(特許7664946)

 2025年4月18日発行。
 コロナ禍の影響で、リモートマラソン(場所や時間にとらわれずに、各自でランニングを行い、その結果をオンラインで報告する形式の大会)が増えてきました。この特許は、リモートマラソンレースで、走行環境による走行への負荷の差を是正して順位を決定する仕組みに関する発明。アシックスはマラソンなどのレース運営にも積極的に関わっていますので、このような発明を出願・権利化したのでしょう。

磐田市  出身地推定システム、出身地推定プログラムおよび出身地推定方法(特許7657410)

 2025年4月7日発行。
 対象者の出身地を推定するための情報として入手容易な対象者の名前を表す名前情報を用いることで簡便に対象者の出身地を推定する出身地推定システムを提供する、という発明。ケンミン刑事(日本テレビ系列の「秘密のケンミンSHOW極」の番組内)が、かっこよく犯人の出身県を言い当てる際、その県について「○○という名字が一番多い県」というようなことを言っていますので、その仕組みを特許化したのかと思いましたが、特許明細書を読むと、外国人の名前から出身地(国)を推定するための発明のようです。静岡県遠州地方は、自動車・二輪車関連などの工場が多く、そこで働く外国人が磐田市に多く住むことから、このような仕組みが必要になったのでしょう。発明者名を検索すると、磐田市立総合病院で独自のアプリ(日本語に不慣れな患者と意思疎通するためのアプリ「フレナビ」)を開発した方による発明と分かりましたので、そのアプリの機能と思われます。

株式会社eiicon  イノベーション創出に適した組織の診断方法(特許7667567)

 2025年4月23日発行。
 オープンイノベーションを創出する土壌を組織が有しているか、を適切に診断する方法を提供する発明。特許出願時は、パーソルイノベーション株式会社が出願人(新規性喪失の例外の表示があります)。株式会社eiiconは、パーソルイノベーション株式会社(パーソルグループ)から2023年4月に独立した会社で、オープンイノベーション活動を支援。この発明では、組織がイノベーションを創出するために適した組織であるかを診断するために必要な指標に関する大項目として、「全社戦略との整合性/オープンイノベーションの明確化」、「方向性の明確化」、「体制プロセスの整理」、「事業化/協業判断基準の明確化」、「適切な発信とソーシング」をあげていて、これはこの会社のノウハウということでしょう。なお、パーソルイノベーション・eiiconによるオープンイノベーションの場の創造と伴走型共創支援「AUBA」は、第4回 日本サービス大賞(2022年)の優秀賞に選出されています。

 

その他、主なeビジネス/デジタルビジネス関連の動向より

 その他、注目すべき情報です。主に先月発表の情報より。

AI使い社内起業「壁打ち」 リクルートの助言ツール「ももたろう」
 日経MJ 2025年5月5日より。40年以上続ける新規事業提案制度「Ring(リング)」の提案に対する「壁打ち」に生成AIを利用できるようにしたとのこと。また、起業のプランシートを提案する前に出来栄えをチェックする「AIみなおしキジ」機能を追加したとのこと。アイデア・プランを高度化して新規事業の実現促進を狙っているようです。他企業の似た試みとして、ホンダがワイガヤに生成AIを利用することを検討しているようです(日刊工業新聞 2025年05月27日)。

特集 DX人材育成、再点火 実践と登用で脱・学びっぱなし
 日経コンピュータ 2025年5月1日号より。確かに、学びっぱなしではなく、実践のなかで教育してゆく事例が増えてます。

IT国家試験に「データ管理」新設へ デジタル人材のニーズ変化に対応
 日経のサイト 2025年5月22日 より。情報処理技術者試験に、データマネジメント(管理)などの区分を新設する方針とのこと。日経クロステックの記事では、「ITパスポートの次」に受ける試験新設として「データマネジメント」「デザインマネジメント」のスキルを対象とした試験の新設を検討中、と報じられています。

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