成立したeビジネス/デジタルビジネス関連の特許/実用新案(FI=G06Q)で、特許公報発行日が2025年10月のものは854件(うち実用新案2件)でした。それらの中から次の4つをご紹介します(前々月に発行された登録特許から選んでいます)。

ソフトバンク株式会社 情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及び記録媒体(特許7755104)

 2025年10月15日発行。
 特許権と事業との関係性を特定するために生成AIを用いる仕組みの発明。事業の秘密管理レベルの情報も扱う仕組みで、企業内での特許権と事業との関係性を特定する狙いの発明のようです。なお、私は以前、公開された各特許が各々の会社の事業と関係しているかを自動的に見つける仕組みを考えたことがあり、特許化もしました=文書検索方法(特許第4255239号)。このソフトバンクの特許は狙いが少し違いますが、私が以前そのように考えた用途に生成AIを使う場合にも参考になりそうなプロンプトが掲載されているので、ありがたく感じています。

PayPay株式会社 情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム(特許7760793)

 2025年10月27日発行。
 プリペイドカードの利用を許可する加盟店を適切に選別する仕組みの発明。新規性喪失の例外の表示によると、クレジットカード(Visa)加盟のオンラインショップなどで 、PayPay残高からの決済を可能にするバーチャルカードPayPay残高カードに関する発明のようです。

ENEOS株式会社+三菱商事株式会社 配送管理システム(特許7757259)

 2025年10月21日発行。
 エネルギーステーションを荷物の配送拠点とする仕組みの発明。三菱商事とENEOSによるガソリンスタンドを拠点とした配送効率化事業の合弁会社の事業に関する発明と思われます。

セコム株式会社 店舗運営支援システム及び店舗運営支援方法(特許7761493)

 2025年10月28日発行。
 特許公開時は、株式会社ディー・エヌ・エーとの共同出願。店舗でのスタッフの作業中の様子に加えて作業の結果を速やかに的確に確認する仕組みの発明。セコムとDeNAによる店舗管理向けウェブサービス「dot-i」に関する発明のようです。このサービスは、2024年の「日本オープンイノベーション大賞」で総務大臣賞を受賞しています。

 

その他、主なeビジネス/デジタルビジネス関連の動向より

 その他、注目すべき情報です。主に先月発表の情報より。

NTTドコモ 会議支援エージェントシステムを開発~AIエージェントがリアルタイムに会議に参加し、会議の生産性や創造性の向上をサポート~
 NTTドコモが2025年11月10日に発表。リアルタイムに情報収集や分析を行ったり、最適なタイミングで新たな提案や多面的な意見を発言したりするなど多角的に会議を支援、とのこと。他企業でも会議に参加するAIエージェントが開発・利用されていて、富士通は会議中の発言をリアルタイムで解析し自律的に判断して関連するデータを表示するAIエージェントを開発・活用し、意思決定を先送りさせない効果が期待できるとのこと(ITmediaより)。三谷産業は、助言・提言に特化したバーチャルヒューマンの北斗泰山(中国古典「孫子」に精通)を取締役会に試験導入したとのこと(日経ビジネス電子版より)。

JR東日本、Suicaにバーコード決済 数十万円上限でPayPayに対抗
 日経電子版2025/11/10の記事より。決済データが増えて新たな事業創出につながることを期待しているようです。ただし、ゆうちょPayやUNIQLO Payは撤退することが発表されていて、どの位利用者を増やせるかがポイントでしょう。JR西日本のWESMO!も同様でしょう。

『ウマ娘』コナミとの特許権侵害訴訟の和解成立の件で、特別損失7億2700万を計上
 ファミ通.com2025/11/14の記事より。和解の条件については、秘密保持義務に基づき公表されていないものの、決算短信(サイバーエージェントの2025年9月期における決算短信)にて、本件により当連結会計年度に特別損失として7億2700万円を計上したことが明らかになった、とのこと。40億円の損害賠償とゲームの提供差し止めが求められていたので、この位の額でよかったのかもしれません。和解によって、このゲームの利用者は安心して利用し続けることができるので安堵しているでしょう。

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